縁はプレゼント
Tel Aviv, Israel
訪れる国や都市にも、縁が作用している、と感じることがあります。
一昨年他界した母方の祖父が、戦時中に黒竜江省にある牡丹江という街にいたことを聞いたのは、
僕がまだ社会人2年生で、二回目の中国出張の際に、牡丹江を訪れたあとでした。
祖父の代から続く縁。こんなに世界は広くて、中国だけでも無数の都市と、広大な国土があるのに。
あの日、祖父が披露してくれた、片言だけど間違いの無かった中国語、とても懐かしく思い出します。
逆に、縁がない国もあります。
インド、イタリアはどういうわけか、行く予定が立っても結局流れる。
見えない力が作用しているかのように、その方向へは結局行けない。
インドに行く人は、実はインドから呼ばれている、と聞いたことがあります。
そういう意味では、きっとまだ呼ばれていないんですね。
イタリアは、数か月前から新規取引先訪問のために訪問予定をしていたのですが、
不思議なもので、やはりまた流れそうな気配です。
そんな中で、最近とてもご縁を感じる中東の都市があります。
イスラエルのテルアビブです。
stacksto, baquetはフランスで生産をしているのですが、
我々の担当をしてくれているAVIRAMさんがイスラエルの出身で、結婚式に招待してくれたのは2年前でした。
太陽の日差しが強くて。海がきれいで。自然の中に生きる人たちがとても楽しそうで。
あぁ、ここいいな。この街好きだなぁ。そんな感想でした。
こんな平和で、みんな穏やかで、心の奥底からでるエネルギーのようなものを持っている人たちが住むこの街に、
本当にニュースで見るような怖い光景が広がる日があるの?と疑問に思うばかりでした。
今年3月にテルアビブ再訪が決まったのは、
進めている新プロジェクトに使用する材料を見つけることができず、
結果、イスラエルにあるメーカーにだけ可能性があるとわかった為でした。
『Morita, welcome back to Israel』
商談を終えた後のイタリアンレストランで、乾杯しようかとグラスを差し出した時、こう言ってくれました。
大阪人かというくらいに冗談大好きなイズラエリの面々とあれやこれやと笑い話をしているときに芽生えた感情は、
確かに、「また来れて嬉しい」というよりは、「帰ってこれて嬉しい」という感覚のほうが不思議とマッチしました。
祖先の誰かが来てたのかもしれません。
縁とタイミング。
最近よく使うこの言葉の意味は、日々の生活や仕事によって、何層にも重なっていきます。
縁があって結ばり、この先もずっとほどけないだろうと思っているものも、
あるタイミングを迎えると、複雑に絡み合っていたのが嘘のように、するりとほどける瞬間があります。
僕にとって、東京、フランクフルト、台中がそうでしたが、
ずっと行けなかった街にも、突如としていけるようになる時があって、
縁遠いにも理由があって、縁が近づくのも理由があるな。そして、縁が離れていくにも理由がある、という事を、いつも後から気付くんです。
これからどんな国に縁があって、どのタイミングでどんな街や人との縁が結ばるのか、また途絶えるのか。
道すがら、その「PRESENT(現在)」を味わい尽くしたいと思います。