縁はプレゼント
訪れる国や都市にも、縁が作用している、と感じることがあります。一昨年他界した母方の祖父が、戦時中に黒竜江省にある牡丹江という街にいたことを聞いたのは、 僕がまだ社会人2年生で、二回目の中国出張の際に、牡丹江を訪れたあとでした。
新しくて美しい作品で暮らしを楽しむ。
まだ見ぬいいものを求めて世界を飛び回る。
そんな体験を写真と文字で語る。
日々奔走するスタックストーの社長 森田徹平がお届けします。
訪れる国や都市にも、縁が作用している、と感じることがあります。一昨年他界した母方の祖父が、戦時中に黒竜江省にある牡丹江という街にいたことを聞いたのは、 僕がまだ社会人2年生で、二回目の中国出張の際に、牡丹江を訪れたあとでした。
海外では自己主張だ。はっきり言わないと伝わらない。よく耳にするその言葉を、果たしてそうだろうか、といつも疑念をもって聞いています。
経済成長著しい中国。一躍世界経済の中心に躍り出たこの国の姿を、「ここは日本の昭和35年やな。」と形容したお客さんもいました。僕が社会に出たての17年前のことです。
このままじゃダメだ。変わらないと。藁をも掴む思いで、初めて訪れたのは6年前の同じ頃。毎年2月に欧州最大の雑貨の祭典が開かれるこの街は、雑貨を扱う僕らにとって、近くて遠い夢の街でした。
『外国で暮らすならどこがいい?』と聞かれてこたえる国は、いつも決まって台湾。人が人を見るときの目が優しくて、いつも違和感なく、同じテンションで迎え入れてくれる気がして。
帰国の途。ヘルシンキで目にしたモノへの余韻に浸りつつ飛行機に乗り込み、食事のあと、気が付けば眠っていました。ふと目覚めて日除けを上げたところに見えた月。
ここへ来てから同じ言葉が何度も口をつく。オーストラリア、シドニーから車で3時間半。初の海外ドライブで訪れたNorth Coast、Seal Rocks。
スタックストー株式会社 代表取締役
「いつか世界を飛び回って、世界中の人たちと仕事をしたい」
高校二年の夏。
初めての海外渡航だったロサンゼルスは、僕に一つの夢を持たせてくれました。
世界を訪れ、外国を知りたいと強く思う中で、
逆に、日本人らしさ、日本独自のアイデンティティを発見することになりました。
狭小空間ゆえの工夫から生まれたアイデア。
ごく当たり前のものとして認識していたモノの中に、日本固有の知恵がたくさん詰まっていること。
空間を有効に、大切に使いたい、と言う温かな想いを感じること。
角形バケツ、[stacksto, baquet]をフランスの製造元との協働で創った際、
「このフタは何のためにあるんだ?何のために必要なんだ?」と打ち合わせの中で何度も聞かれました。
「スペースを有効に使うために、上に重ねるため。モノを中に入れた後、埃がかぶらないため。」と返す僕に、
「さすが日本人だ。ワケがわからない。ドイツ人をもう一回りややこしくした感じだ。」
その「ワケのわからないフタ」は今、アメリカ最大級の収納雑貨チェーン、
「The Container Store」の目に止まり、中心商品としてたくさんの人たちに支持されています。
「Mind of Japan」には、世界の人を魅了する素敵なものがたくさんある。
僕らはそれを先天的に持っている世界でも貴重な存在で。
身近すぎて気が付いていないその素晴らしさを具現化していくモノづくりは、
一生をかけて臨む価値があるものと信じて疑いません。
そのモノづくりのプロセスの中で、あの頃ロサンゼルスで見た夢のど真ん中を生かせてもらっています。
お仕事をご一緒させて頂いている方々とのご縁、そして自らの強運に感謝しつつ、過ごす毎日です。